2026.08.23
まずは、やっぱりこれ。
清左衛門の創業以来の看板商品です。
今回アンケートを集計してみても、「好きな商品」として最も多く選んでいただいたのが贅沢茶漬けでした。
穴子、ちりめん、昆布、ごぼう。
それぞれを別々に炊き上げて、最後に詰め合わせます。
砂糖やみりんなどの甘味は使いません。
佃煮といえば甘辛い味を想像される方が多いと思いますが、贅沢茶漬けは、
正真正銘の辛口です。
アンケートにも、ありました。
「なんといっても甘くないのがいいです。」
ふふふ、同感です(笑)。
別のお客様からは、
「贅沢茶漬けを初めて食べた時の驚きと感動を今でも思い出します。甘辛い佃煮が多い中、気持ちがいいくらいの辛口!!」
嬉しいなあ。
この「気持ちがいいくらいの辛口」という表現、私は大好きです。
私は贅沢茶漬けのことを、昔から勝手に、
「できた時から古典」
と呼んでいます(笑)。
流行に合わせて作ったわけではない。
誰にでも好かれようとも思っていない。
でも、好きな人は、ものすごく好き。
そして、時代が変わっても古くならない。
そんなものを最初から作れたんじゃないかと、ちょっと自負しています(笑)。
杉箱も、基本の姿は30年前からほとんど変わっていません。
もっとも当時は、商品の日付シールをコピー用紙で作って、切って、糊で貼っていましたけど(笑)。
でも、杉箱は最初から吉野杉で、ばっちりの品格でした。
素材も、大きさも、焼印も、自分たちで考えました。
そこはちょっと自慢です。
そして味も、基本は最初から今の味です。
ただ、面白いことに、創業してしばらくした頃、デビュー早々から応援してくださっているお客様から、
「清左衛門は、どんどん美味しくなるね」
と言われたことがあります。
それも、一人や二人ではありません。
えっ。
初めから古典だったはずなのに(笑)。
でも今になって考えると、本当にその通りだったと思います。
30年間作り続ける中で、素材を見る目も、炊き方も、焼き方も、詰め方も、ずいぶん洗練されました。
基本の味を変えたわけではありません。
変えずに、磨いてきた。
そういうことなのだと思います。
贅沢茶漬けを作った時から、万人受けする味にしようとは思っていませんでした。
私自身が、
「これ、美味しい!」
と思える味を作りたかった。
子供の頃からの筋金入りの辛口です。
「辛い」と言われることも、最初からわかっていました。
だからこそ、たっぷりのご飯やお茶と一緒に、ほんの少しを味わっていただく、
「贅沢茶漬」
と名付けました。
自分の好きな味にピタッとはまるものなら、日本中で私一人だけってことはないでしょう(笑)。
誰かには、きっとピタッとはまる。
みんながそこそこ美味しいと思う平均点の味より、
「私はこれが好き」
と言ってくださる方がいる味を作りたかったんです。
そんな創業間もない頃。
母の叔父の友人で、超高級な骨董品を扱っていらっしゃるご主人のところへ、初めて営業に伺いました。
その時、こんなことを言われました。
「初めて商売するんやったらな、100人に一人、美味しいって言うてくれたら成功やと思っとき。」
100人に一人。
なんだか、背中を押していただいたような気がしました。
そうか。100人に一人でいいんだ。
私が美味しいと思うものを、本当に美味しいと思ってくださる方に届けばいい。
その年、そのお客様は贅沢茶漬けをお中元に使ってくださいました。
そして後日、ドキドキしながらお目にかかった時に、
「評判よかったで」
と。
やった〜!
最高級の骨董店の口の肥えたお客様に評判がいいのなら、いける!
それから30年。
今もずっと清左衛門を使い続けてくださっています。
ちなみに30年やってきた実感としては、味だけなら100人に一人より、かなり多いと思っています(笑)。
そしてアンケートには、こんな言葉もありました。
「値打ちはあると思います。ただ、この値打ちを誰でもが判ってくれるとも思えないので、差し上げる相手を選びます。」
(ワインレッドの歌姫さま)
……わかってくださってる(笑)。

辛口で美味しくするというのは、実際にはなかなか難しいものです。
砂糖やみりんの甘さの力で全体をまとめない分、素材そのものの味も、調味料の味も、ストレートに出ます。
だからこそ、良質な穴子、ちりめん、昆布、ごぼうでなくてはならない。
そして天然醸造の醤油、純米酒など、良質な調味料を惜しまず使わなくてはならない。
穴子は土佐備長炭で白焼きしてから。
ちりめんは良質なものを選んで、山椒と生姜を効かせて。
天然真昆布も、有機ごぼうも、それぞれに丁寧に炊き上げます。
材料費も手間も、もちろんかかります。
でも、余計な甘さで包まないからこそ、それぞれの素材の味がちゃんと残る。
しっかりした味なのに、後口はすっきり。
以前、京都のまっとうなお出汁屋さん、うね乃の奥様から、
「清左衛門は薄口やで」
と言われたことがあります。
最初は、
「ええっ! うちが薄口!?」
と、ぶったまげました(笑)。
どう考えても、世間一般の「薄味」ではありません。
でも、そういう意味ではなかったんですね。
味が薄いのではなく、
余計な味が残らない。
味はしっかりしているのに、後口がすっきりしている。
なるほど。
私はこの「薄口」という言葉が、とても好きです。
アンケートにも、
「他にはない、甘ったるくない味は貴重です。」
という言葉がありました。
また、25年ほど前に初めて贅沢茶漬けを召し上がったというお客様は、
「その滋味に感動。いまだに大ファンです。」
と書いてくださいました。
ありがたいことです。
最初は、
「100人に一人、美味しいと言ってくれたら」
でした。
その一人が、また誰かに贈ってくださった。
いただいた方が、
「これは美味しい」
と、今度はご自分で買いに来てくださった。
少しずつ、少しずつ、
「この味が好き」
と言ってくださる方が増えていきました。
そして今回、アンケートを読み返してみると、こんな言葉までありました。
「どうかこのお味が変わりませんように祈ります。」
ほんとに嬉しい。
100人全員に好かれる味には、今もなっていないと思います。
たぶん、これからもなりません(笑)。
でも、それでいい。
甘くない。
キリッと辛口。
素材と調味料の味が、まっすぐする。
そして、
ほんの少しで、ご飯がご馳走になる。
できた時から古典。(自称、笑)
でも、もっと美味しくなるように、これからも磨いていきます。
この味にピタッとはまってくださった皆さま。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
「現代の薄味志向の中でこんなにきっちりと味が表現されているお店に出会い嬉しく思いました。辛いからいいというのではなく、第一美味しいです。」
(C.M様)
「贅沢茶漬けを初めて食べた時の驚きと感動を今でも思い出します。甘辛い佃煮が多い中、気持ちがいいくらいの辛口!! 辛党の家族、実家の両親も大好物です。」
(匿名)
「25年ほど前、本店のすぐ近所に当時住まれていた方から知人を介して、贅沢茶漬けを食べさせていただきました。その滋味に感動。いまだに大ファンです。」
(匿名)
「贅沢茶漬を頂いて初めて食べた時、そのお味の良さに驚きました。どうかこのお味が変わりませんように祈ります。」
(匿名)
「なんといっても甘くないのがいいです。」
(匿名)
「他にはない、甘ったるくない味は貴重です。」
(サトイモさま)
「どのお品も私好みですが、やっぱり贅沢茶漬が一番!!好きです。」
(駿河の茶子さま)
「美食家の方に差し上げると必ず喜ばれます。初めて食べた他にない味。贅沢茶漬け、やみつきになりました。」
(匿名)
「主に贈答用で使わせていただいてますが、たまに自分用にも買って食べるたび、とっても美味しいです。特にお茶漬けのごぼうが大好きです。」
(匿名)
「辛口の無添加佃煮を探して辿り着きました。美味しい!!」
(きくらげさんさま)
※お客様のお名前は、アンケートで実名掲載の許可をいただいた方も含め、現在は原則としてイニシャルまたは匿名でご紹介しています。ニックネームをご記入いただいた方は、ニックネームを掲載しています。
「149通のお客様アンケートを読み返してみました」全7話
← 第4話 お客様に育てていただいた店|変えること、変えないこと
→ 第6話 昔ながらの辛口・鮭茶漬け|塩っ、辛い。だから、美味しい。
→ 第1話から読む
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