2026.09.16
テレビなどでも取り上げられているので、ご存知の方も多いと思いますが、天然真昆布がピンチです。
清左衛門が創業以来、ずっと使い続けてきた相棒、道南産・白口浜の天然真昆布。
澄んだ旨い出汁がひける最高級の出汁昆布で、上品な甘みがあるので、佃煮にも最適の昆布です。
その道南産真昆布が、ここ10年ほど、どんどん採れなくなっているのです。

ひとことで温暖化が原因とされがちですが、昆布に携わる人たちから聞く話では、どうもそれだけではない、複雑な事情が絡み合っているようです。
護岸工事などの影響で、山から海へ流れ込む栄養分が少なくなったとか。
そして、こんな話も聞きました。
その昔は、漁師さんたちが船の上で鍋をして、残ったものを海へ戻していたそうです。それが規制されるようになり、海がきれいになりすぎた。その頃からだんだん「海が痩せてきた」と話す漁師さんもいる、と昆布業界の方から聞きました。
それが実際どれほどの影響があるのか、私にわかるはずもありませんが、
「海がきれいになりすぎて、海が痩せてしまった」
という言葉が妙に印象に残っています。
それはさておき、天然真昆布のピンチが顕著になり始めた頃、7〜8年くらい前かな。
大阪中央市場の昆布屋さんの営業、近藤さん(今は社長です)が訪ねてきてくれました。
彼は、清左衛門が創業期にお世話になっていた昆布屋さんで、店長の部下だったそうです。
(すみません。店長としか話したことがなくって、存じ上げませんでした。)
その昆布屋さん自体もお店が分かれたりして、なんとなく清左衛門も遠ざかっていたのです。
そんな近藤さんが、
「清左衛門さんは、とにかくええ昆布をいつも探してたから、今、困ってはるんちゃうかなと思って」
と訪ねてきてくれたのです。
そのとき、黒口浜の天然真昆布を持ってきてくれました。

黒口浜も、上質な天然真昆布の産地です。
当時、奥井海生堂さんからも「黒口浜は上質な昆布が採れているけれど、人手不足で、きれいに伸ばした昆布はもう作っていないから清左衛門には使えない」と聞いていました。
近藤さんが持ってきてくれた昆布も、素晴らしい昆布でした。
でも、伸ばした昆布ではないので、杉箱用の「贅沢昆布」には使えません。
そこで、以前から作ってみたかった細切り昆布にできるなら、ぜひ使いたいと思いました。
「昆布を細くカットしてくれるなら、ぜひに」と。
細切りは、手でカットするのはほぼ不可能なので、実は諦めていました。
清左衛門では、それまで製造工程を外注したことがなかったのですが、手入れの行き届いた美しい機械を見せてもらって、安心してお願いすることにしました。
人気の細切り昆布は、
「いいものを作りたい!」
と、まっすぐに思い続けてきた清左衛門の思いが導いてくれた「縁」から生まれた商品なのです。

黒口浜の天然真昆布は、僅少ですが新しい入荷もあります。
清左衛門の単品の昆布は、この「細切り昆布」に任せます。

近藤さんと奥井海生堂さんにキープしてもらっている、稀少な白口浜の天然真昆布。
この昆布から作る角切りの「贅沢昆布」は、今後、贅沢茶漬の杉箱入り商品専用にさせていただきます。

昆布に関わるすべての人々の努力と、私たちの祈り。
そして自然の回復力で、白口浜の天然真昆布が復活するその日まで。
贅沢昆布の単品は登場しませんが、どうぞご理解ください。
角切り昆布を切り揃えたときに出る端っこの部分は、贅沢茶漬homeと贅沢茶漬miniに使います。

同じ昆布を、同じ調味料と手間をかけて作るので、味は変わりません。
手切りでカットしてきた昆布の端っこは、丁寧に保管してあり、しばらく使えるだけの在庫があります。
きれいに揃ってはいませんが、小さくてかえって食べやすいかも(笑)。
状況に応じて、単品の「不揃いの昆布たち」として販売できることもあるかもしれません。
とにかく、道南産天然真昆布が本当に稀少になった今ですが、
材料が調達できる限りは、ベストに美味しいものを作ります。
細切り昆布も。
贅沢昆布も。
不揃いの昆布たちも。
ほんの少しで、ご飯がしみじみ美味しくなる「ご飯の友」の逸材です。
貴重になった天然真昆布を大切に使いながら、
材料が調達できる限り、清左衛門の味を変えずに作り続けます。
もしかしたら、いつか食べられなくなるかもしれない、この味を。
どうぞ、丁寧に、ちびちびとお楽しみくださいませ。
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