清左衛門のスタッフ、綺麗で元気印の沢田さんが、朝、小声でいう。
「お願いがあるんですけど‥」「佳子さん、この間の厚揚げのレシピ教えてもらえませんか？」「息子がすごく美味しいっていうから作ってみたんですけど、『全然違う！』って言われてしまって‥。」

実は、この間、哲ニイ（前出、小野哲郎さん）に、お稲荷さん用の薄揚げを注文したら、美味しそうな厚揚げをオマケしてくれたので、スタッフ達にお裾分けすることにした‥。

みんな、一生懸命仕事して、家事も頑張ってるのに、一寸だけ材料もらってお家で作るのも大変だから、どうせならお惣菜作ってから上げようっと‥。で、仕事の合間に、ごく簡単な甘辛の懐かしい味に仕上げた。その厚揚げのことだ。

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「でもねえ、哲ニイの厚揚げで、清左衛門の出汁と調味料で作ってるんだよ。そうそう簡単に同じになる訳ないね〜。」
一瞬、私のクセが出そうになった。ほんの小さいお惣菜なのに、材料も最高、出汁も調味料も最高‥、そして配合にも相当な気配りをしている。「だから、美味しい訳‥料理は材料と丁寧さだからね〜、配合だけじゃないよ」という思想。

でも、即、考え直した。そうだ、ふつうのお家で毎日そんな「こだわり」無理やん。究極は清左衛門の商品で目指すとして、スタッフの毎日の食卓がちょっとでも楽しくなる工夫もいいなあ‥。

「沢田さん、さっきは無理って言ったけど、その辺の材料でそこそこ美味しそうなレシピ作ってみるわ。」ということに。

こちら西宮阪急で調達した「ひとくち揚げ」108円（税込）豆腐一丁分くらいの大きさ。

清左衛門には存在しなかった普通の上白糖を買ってきました（スプーン印）
出汁、醤油、酒は、めんどくさいから、そのまま清左衛門のものを使用しました。

出汁 1 カップ
醤油大さじ 2
酒大さじ 1.5
砂糖　30g

分量は、砂糖、酒、醤油の違い、味の好みがありますのであくまで目安にして下さいね。

ところで、私は、料理に「みりん」はほとんど使いません。（必要な時は本物の美味しい「みりん」を使用しています。）
実際に、「みりん」を使っての料理も色々試しますが、結局、清左衛門では風味のためには純米酒、甘みが必要な時は砂糖（三温糖、黒糖）でつけるようになりました。

味にキレが出るし、微調整がきくからです。

甘辛味というのは、確かに懐かしくて美味しく癒されるものですが、その分、ちょっと野暮ったくてデリカシーなど必要のない味付けのように見えます。でも、実際には、素材によって、醤油勝ちにした方が美味しいものと甘勝ちにした方がいいもの、さじ加減がちょっと微妙な、かなりデリケートなもの味付けだと感じています。

また、ちょっとコうるさくなりましたね。もといっ。

まず、厚揚げを下茹で。出汁や調味料をしみこませる為に必須の過程。簡単に湯通しという感じよりはしっかり目で２〜３分くらいかしら。

湯通ししたお湯を捨て、先ほどの出汁と調味料をいれて煮る。
調味料を入れる順番は「さしすせそ（※注）」とか言いますが、この煮物に関してはいっぺんに無頓着に入れてOKと思います。

※注　さ（砂糖）し（塩）す（酢）せ（醤油）そ（味噌）

それよりも何よりも無駄なく美味しくするためのコツはお鍋の大きさ。厚揚げを隙間なくひと並べに出来るくらいの鍋を使うのがミソ。今回は１丁分だったので、ミルクパンで作りました。一口揚げだと隙間なく並べられるから作りやすいですね。料理屋じゃないんだから、多少の煮崩れや、カタチの不揃いはゆるしちゃいましょうよ。それより出汁や調味料を無駄にせず、くっきりした味に炊き上げましょう。

小さい鍋なので、ちょうどいい落としぶたがなかったのでアルミ箔で代用。火加減も中火位で適当に‥。

出来れば途中でひっくり返して、煮汁がほぼなくなる位までしっかり煮込んで、出来上がり。

ちょっと大きめな器にゆったり盛りつければ身近なおかずもちょっと豪華な感じ！

嬉しかったのは、清左衛門のスタッフの言葉！

「昨日早速作りました〜。上手に出来て、一番始めに出しておきました。主人に好評でした‥。」

何だかとっても嬉しい気分です。