2017.12.24
清左衛門のごまめ。年末の限定商品ですが、最高級のごまめを目指して努力しています。
こんなにきれいで美味しいごまめは初めて!っておっしゃるお客様の多いこと。ホントにありがたく思っています。
美しさと美味しさの秘密を大公開!(自分で言うかっ?言っちゃいます。いつものことですが…)
まずは何と言っても素材。ごまめは、京都の宮津産が高品質で有名なのですが、中でも仲卸の長岡さんいわく、島庄さんが上手とのこと。大阪中央市場でも数えるほどしか出てこない品物を頑張って入手してもらっています。
長岡さんは、今はもう廃業された中央市場でも最高級のものを扱う塩干屋さんの番頭さんをされていた方で、お店は変わりましたが、清左衛門の創業期以来の長いおつきあいになります。その昔、そのお店の店先で、ごまめの箱がズラリと並んでいました。(多分12月だったんでしょうね。)
戯れに値段を聞いたら1キロあたり2,3千円のものから、2万円を超えるのもの(中には3万円に近いものまであったような)まで、値段の幅がひろいことに驚いたものです。
清左衛門には、やんちゃ煮という、人気商品があるので、1年中、そこそこいいごまめを使っています(普段着っぽい商品のやんちゃ煮には、ここまで今回ほどのごまめを使うことは出来ませんが…)が、いつも出来るだけ宮津、それも島庄のごまめをなるべくリーズナブルに仕入れたいと思っています。(ただ、技術が高くて美しく、価格も高い、評判の宮津産だからといって、必ずしもいつも一番いいとは限りません。味を比べて、山口県産のものを使うときもあります。)
この写真のような、目の覚めるようなごまめは、12月にはいらないと手に入りません。お正月向けまで、業者さんが出さないそうです。
もちろん、値段はかな〜〜り高価です。(商売を始めた頃は、こんなに高価なごまめ、誰がつかうんやろって思っていましたが、目が肥えてくるとやはり使ってしまいますね。特にお正月のお祝い用にはどうしても。)
次に煎り方。
家庭でちょっと作るなら、遠赤効果のある焙烙で炒るのでしょうが(私も少女時代、母のおせち作りを手伝っていた頃は、焙烙で炒ってました。)、清左衛門では、備長炭で炙っています。
清左衛門には、杉田さんという、ごまめを炒るなら右に出るものがいないという名人がいます。はじめは、私が指導したんはずなんですけど、今では、全くかないません。いまでも私は、もう少しあーしてこーしてと、ちょっとした文句をつけますが、自分でやれと言われたら…、足元にも及びません。
他のスタッフも私も、これだけ高価なごまめになると、びびって、杉田さんに任せるしかありません。
ごまめは、パリっと折れるように炒るとか、料理本には書いてありますが。あれは実は、いまいちなんです。
私も、その昔、そんな感じで作っていましたが、いろんな方に教えてもらって、今の美味しいごまめにたどり着きました。
はじめに教えてくれたのは、佃煮屋さんを始めるきっかけを作ってくれた、母の叔父の清正おじちゃん。料理屋から事業をスタートしたひとだったので、他の事業に中心が移ってからも、料理屋をとても大事にしていたおじちゃんでした。
「板場は、たいていごまめを炒りすぎるんや。カスカスになったら美味いことないんや。佳ちゃん、気いつけや。」
もう一人、印象的だったのは、大阪中央卸売市場の塩干屋のおじさん。もうどこのお店だったのかも覚えていませんが、母と二人、自分たちの足ででいい業者さんをさがしていたころです。
「お姉ちゃんの作ってる佃煮、もってきて。」っと買ってくださった業者さんが、「味付けはええけどな、ごまめはあんなにカスカスに炒ったらあかんで。ちょっとウニッていう感じが残るのが美味いんやで。勉強して頑張りや!」って。
ごまめの炒り過ぎは、ご法度ということを学び、程よい火の入れ方を研究してきました。ウニッていう感じ、という表現はそのまま清左衛門で生きています。
さて、杉田さんは、清左衛門の自慢の職人さんの一人です。
華奢で控えめでおとなしい、でも静かな闘志を胸に秘めた彼女は、ものすごく強いパワーを持つ備長炭の火を、状況に応じてとても優しく正確に扱える達人です。
丁寧に炭を組んで火おこしして、火加減をする。穴子を焼いてもらっても天下一品ですが、特にデリケートで難しいごまめを焙る作業では右に出るものはありません。とにかく、すべての工程を丁寧にこなす人です。
ごまめは小さいので、火力が強いとカッサカサに、反対に弱すぎると魚の生臭みが出る。ごまめがかすかにふっくらしてきて、いい香りが立ったかどうかが見極めどころ。うにっとした食感を残しながらも、生臭くない。これが名人芸です。
写真は、炒ったごまめですが、必要最小限の火入れがされている感じがわかっていただけると思います。
丁寧に選別をしてから、清左衛門らしい味付に。
調理しているのは私なので、写真はありませんが、デリケートなごまめには結構気を使います。ここまでの工程が完璧なので、あとは全部私の責任。ひえっ〜。
手間ですが、ごまめを傷つけないよう、比較的少量ずつ、何度にも分けて作っています。仕上げに「ヤマツ辻田」の鷹の爪をパラリ。楽しい嬉しい瞬間です!
小さな一箱ですが、かなりこだわって作っている「清左衛門のごまめ」
どうぞよろしくお願い致します。
髙島屋大阪店、味百選でも販売しています。
¥1620(税込) 41g
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