2016.12.18
清左衛門が、ずーっと使い続けてきた道東産特級紅鮭。
日露漁業交渉がうまくいかなかった昨年、一昨年と、できる限り手を尽くして、かなりの量を確保しましたが、とうとう底をついてしまいました。
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タイムリーにプーチン大統領も来日されましたが、少なくても来年の初夏(2017)、ロシアとの交渉がうまくいくまで、道東産紅鮭は手に入りません。(注、結局2017年も交渉は決裂、道東産は一切ありません。)
だから、道東産が欲しいと言っても、もはや詮無いこと。
斯くなる上は、清左衛門のウェブサイト、オンラインショップ、DMや売り場でも、お伝えしてきたとおり、道東産が、再び手に入るその日まで、魚自体は同じで加工方法が違う、ロシア沖流しの紅鮭を使うという道しか残っていません。(と言っても、この特級「沖流し紅鮭」も、今シーズンはそれほど量は残っていませんけどね。こちらも貴重品です。)
実は、清左衛門では、今年は道東産が全くゼロと聞いた時から、沖流し紅鮭(ロシア産)を使ってあの美味しい鮭茶漬を作る方法を、日々、研究してきました。
その悪戦苦闘の一端をお伝えします!
これは、特級のロシア産紅鮭(通称沖流し)です。
魚自体の味はとても良い、美味しい鮭です。
ただし、いろんな料理に使い回せるよう、少量の塩で、ほとんどそのまま冷凍しているので、身が締まらず、ぽってりしています。
道東産は、船上で、強目の塩を回しているので、ロシア産より締まっています。
すぐ下の写真は、ロシア産紅鮭のお腹のあたり。つるん、とぽっちゃりしています。
そしてお次は、道東産。
写真だけでも、締まり方の違いが、一目瞭然ですよね。
これは、ロシア産の特級紅鮭を開いたところ。
ロシア産を開くと、生の魚って感じで、まったりと脂アブラしていて、その辺、ヌルヌルになります。
色も道東に比べると、薄い感じ。(もちろん個体差がありますけど、総じてロシア産の鮭は色が薄い。)
同じ時期、同じ海域で取れた鮭なのに、色味が違うというのは、塩で〆たことによる違いだなって、思っちゃいますね。
道東産も、色が薄い時がよくありますが、個体差があるんでしょうけど、おそらく締まり方の違いもあると思います。
ロシア産紅鮭の製造規格書を見ると、塩はほんとにわずか。塩焼きだけでない、いろんなお料理に使えるようにしているのだとは思いますが、こんな中途半端な塩をするくらいなら、何にもせずに冷凍のままでいいんじゃないかと思うくらいです。
そこで、しっかり塩を回すために、いろんな実験を試みました。
まずは、道東産でやっているように、切り身にしてから。塩を回す時間をじわっと長くしてみる。
いやいや、そんなんじゃ全然ダメ、まだまだ甘い甘い!
ということで、切り身にしてから、塩でガッチガチにするほど回してみる。
いやいや、そんな荒くったい乱暴なやり方はダメダメ!
じゃあ、一旦普通に塩をまわしてから、追い塩という2段階にしてみよう‥。
とか、塩加減、締める時間など、手順などいろいろ試してみました。
でも、上で見たように、ロシア産は、身がぶよぶよしているので、上手に捌いても、たとえ2段階にしたところで、塩の回り方が、直接的で、余計な水分と余計な脂以外の美味しい成分も一気にでてしまいそうな感じ。
だって、普通に塩をしても、1日で、ドバッとこんなにドリップが‥。
ロシア産の鮭って、2割くらいは、余分な水を買ってるようなもんですね。全く〜。(もちろん料理によりますけど)
道東産紅鮭の美味しさは、余分な水分、余計な脂分をだして、美味しさを凝縮しているからなんですね。
同じ7尾入りでも、道東に比べて、かなり縮むことを考えたら、ひとまわり大きい方がいいかと思って6尾入りを仕入れて、試作したこともあります。(結局、7尾入りの方が好みなので、6尾は採用しませんでしたけど)
なにはともあれ、一気にドリップを出すような、この乱暴さはとにかくダメ!
では、もう少し、間接的に塩を回す、ということで、大きめのフィレにして、塩を回してみようか。
一回目にフィレである程度、〆てから、いつも通りに塩を回してみようって感じ。
ちょっとは、いい感じかな〜。
でも、やっぱり‥、せっかくだから、もう一声頑張ろう!
ということで、初めから「これがベストアンサー」と予感しつつも、あまりに大変だから、なるべく避けて通りたかった方法!を試すことに。
それは、昔から塩鮭に採用されていた、山積みの小型版。
ロシア産の鮭まるごとに、包丁を入れずに塩を回して、積み上げておいて、二日ほど置いて、上下をひっくり返してまた締める、という方法。
これは、皮の外から、じっくり塩を回すわけだから、締まり方もじわじわ行くし、一番魚臭い、皮のすぐ下の余計な脂は除いてくれて、美味しい脂はとりすぎない感じがするじゃないですか。いかにも美味しそう。
丸二日置いてから上下を逆転。
さらに時間をおいて塩を回します。
このやり方でも、かなりの水分が出ますが、とっても穏やかにジワジワといった感じです。
で、結果は‥。
清左衛門の調理場のエース、星さんによると、「とてもいい感じで締まってます。」
やった〜!
捌いてみたら、
じわっとしっかり締まって良い時の道東産の感じ。(良い時のと書いたのは、道東産でも、いまいち塩が回ってないプヨッとした感じの鮭があるからです。)
「外から塩をじっくり回したほうが、なんとなく色もキレイになっていると思います。」と星さん。
(写真では分かりにくいですが、肉眼では、明らかに違いますね。ただし、個体差もあるので断言するにはまだ経験が浅い‥)
これはもう、どんなに大変でもこのやり方にするしかないね、と結論!
場所もとるし、恐ろしく時間もかかるし、ため息出るほど大変だけど、ズバリのやり方を見つけて、スタッフ全員でにんまり。
(忙しい時は、調理場じゅう、山積みの鮭になったりして‥、想像するとちょっとコワイですが‥)
実は、鮭の締まり方だけ研究してたわけではありませんよ。
並行して、炭焼きして、全員で、実際にお茶漬けで試食を繰り返しました。(これが、本当に有意義でした。つまんで食べただけでは見逃しそうな、ロシア産の癖みたいなものがお茶漬けにするとくっきりと浮かび上がるのです。)
方向性が決まってからも、微調整して何度も試作。
これは、ほんの一部。
例えばこれは、外塩で山積みしたけれども、捌いてからの塩が少し少ないもの。
色は、道東産でも滅多にないほど、キレイな濃い色になっていましたが、捌いてからの塩が足りないので、少々脂っぽく、お茶漬けには不合格。
でも、外塩のせいか、色が見事になっています。
これは、普通に捌いて、いきなり塩で固めるくらいに強く塩を回したもの。
少々塩気が強すぎる荒くったい味でしたが、それでもお茶漬けにしたらかなり美味しいものでした。
ただし、どちらかといえば塩の味で食べている感じで、鮭の風味は若干少ない感じでした。
それに、塩が強くても、色があまり乗ってきません。
捌いてから、塩をきつくしても、不思議と色はあまり美しくならない感じです。
そういえば道東産にも色の薄いプヨッとした鮭がありますが、その鮭に塩を回しても、色が濃くなることはありません。
写真では分かりにくいですが、外塩をした鮭は概ねキレイな色です。
あと、ちょっと多めの塩で、短時間で〆たものは、表面は辛いけど、中の方の細胞が締まりきらないせいか、「ちょっと塩辛い焼き魚」といった食感で、清左衛門の鮭茶漬けとは全く違うものになりました。
結局、鮭は
⒈塩が効いてないと美味しくない。(これは、鮭茶漬でも普通に食べる鮭の塩焼きもおんなじです。)
⒉じわじわ塩をしないと、美味しさまで逃がしてしまう。(ちょっと薄っぺらい味になります。)
⒊じわじわ満遍なく締めないと、焼き魚の食感になってしまう。
など、
なんとなくわかっていたことでしたが、いろいろ再認識できました。このロシア産紅鮭との悪戦苦闘で、鮭とより一層親密になった感じで楽しかったですよ〜。
清左衛門がロシア産、沖流し紅鮭に出した結論
外塩でまず、道東産の鮭と同じレベルの締まり具合にしてから、清左衛門の従来の作り方で、作る!
信じられないほど、負担の大きい作り方ですが、頑張って作りますので、どうぞよろしくお願い致します!
それにしても、道東産の塩鮭。
早く帰って来てちょうだい!!
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