2019.03.16
念願叶って、やまつ辻田に伺いました。
言わずと知れた、和の香辛料の大老舗です。
さすが千利休の堺、が誇る老舗。
格調高く高尚な佇まいの中に、やさしく大きく受け入れてくれる温かさが漂っています。
社長の辻田浩之さんとは、2005年、新生心斎橋そごう(さっさと閉店し、今は大丸になってます。)のこけら落としの催事で初めてお目にかかりました。
近くで販売されていた辻田さんの魅力的な口上に、自分ちの販売そっちのけで聴き入ってお買い物ばっかりしていたのを思い出します。
実は、それより前から、辻田さんのお母様が清左衛門のお得意様でした。(清左衛門の初期のお客様のお一人です。)
今回の和風香辛料の家庭での愉しみ方いろいろも、もとはお母様の考案だそうです。
ひょんなことから、同行させていただくことになったのは、ご専門分野の世界的な名医で、大変な食通の石川秀雄先生と由希子夫人。関西を代表するライターの一人、団田芳子さん。食に関するツワモノ揃いです。
まずは、辻田さんが出演したテレビ番組の視聴。番組では、生産地などの綿密な取材がコンパクトに収められているので導入にはばっちり。(「西川きよしのおしゃべりあるき目です」)
引き続いて、思いっきり興味深い唐辛子、山椒、実生柚子、七味唐辛子についてのレクチャー。
ね、指先にまで、愛情がこもってるでしょ。
でも、素晴らしすぎる内容については、お洒落なパンフレット、「やまつISM」に詳しいので割愛。
ここからがさらなるお楽しみ!
「お昼はたべずに1時集合」となったのは、和風香辛料愉しみ方指南塾。
深清の穴子寿司に山椒、柚子胡椒から始まって、奥様が作ってくださった美味しい鶏カラ、すき焼き、おうどん、そして驚きの「明太子に柚のす〜!」
デザートはアイスクリーム(懐かしのレディーボーデン)にたっぷりのすりごま!
巨漢(身長なんと194cm)の辻田社長自ら、香辛料使いテクニックを優しく指南。
本当に素晴らしい、すぐにお家でも真似できる最高級の贅沢に酔いしれました。
和やかで至福のひととき。
食器、テーブルクロス、箸置き、何もかも、さりげなく上質で、あたたかくって素敵!
慣れていらっしゃるとは思いますが、これだけ心のこもった「もてなし」はなかなかできるものではないでしょう。やっぱり、茶の湯の文化が染み込んだお家なのでしょうね〜。素敵〜!
でも、何より私が一番感銘を受けたのは、さりげない会話の中での辻田さんの一言でした。
なんかの文脈で私が、「きれいごとに聞こえるかもしれませんが‥」と言いかけるとすかさず、辻田さんが、あの声で、
「僕は、きれいごとやなかったら、いややねん!」
と、おっしゃったことです。
その一言が、辻田さんの姿勢の全てを物語っていると思いました。
押しも押されもしない大店のご主人が、まっとうなモノづくりを追求し、自分だけがすごいものを作っているんだぞみたいに驕ることなく、伝統の日本の宝物が続くようにと、生産者、よその業者さんにも繊細な配慮をしながら、どんなちっちゃい仕事(例えば清左衛門とのコラボとか)も丁寧に考えてくださる。
「きれいごと」って、なにかと揶揄されやすい言葉だけれど、私は「きれいごと」で生きていきたいといつも大真面目に考えています。そういう風に考えている人たちのなかで結果的には、事業や人生がうまく行かなくなった人ももちろん多いと思います。「ほらみろ、きれいごとを言ってるからからだって」いわれちゃうかも。でも、私はそうであっても「是」と考えています。
ただ、辻田さんみたいに押しも押されもしない人がおっしゃる「きれいごと」は、「実現できる高い理想」と同じ意味。こんな人が食品業界にいらっしゃるのは実に心丈夫じゃないですか。
思いっきり嬉しくなりました。
やまつ辻田の本当の凄さを発見した気がしました。
窓際に素敵な花が活けられてました。
「お母さんが、活けけられたのですか?」と伺うと、「〇〇さんや」。(お名前、聞き取れなかったごめんなさい)ずっとおもてなしをしてくださっていた会社の方です。社員さんも、さりげない深い教養を身につけていらっしゃる。素晴らしや〜。
帰りも、今度はとっても明るい社員の方が駅まで送ってくださいました。
ほんとにやまつ辻田の大きさ、高さ、広さ、深さ、きよらかさを感じたグルメ紀行でした。
やまつ辻田の商品たち。
世界の食の達人たちが認める最高級品ですが、ワンコインで、高くても1000円札一枚で買えちゃうところが素晴らしい。ほんの一振りで、どれだけ毎日の生活が豊かになることか。有難や〜。
そして、マイ調味料として持ち歩く時の可愛い巾着はなんと、辻田さんの奥様が音頭をとっての驚きの手作り〜〜! 紅白市松のは、ずっと前からの愛用品ですが、今後もぜったい粗末にはいたしません、と新たに誓いを立てました。
やまつ辻田の品物は、百貨店で取り扱いがありますから、まだ使ってない方はダッシュで売り場へ行ってお試しくださいませ〜。
付け加えておくと、辻田さんは、剣の道を歩み続ける人でもあります。剣道7段。朝な夕なの稽古欠かされることはありません。東京の催事に行ってもです。歩く武士道、歩く日本文化のような人なのです。
辻田さん、これからも必死で付いていきます!
ご指導よろしく〜!
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